
これからの季節になると、アイスや冷たい飲み物を口にする機会が増えてきます。その際、「歯がキーンとしみる」「ズキッと痛む」と感じたことはありませんか。
「歯がしみる」と聞くと、多くの方が「知覚過敏かな」と思われるかもしれません。しかし実際には、しみる症状の原因は知覚過敏だけでなく、歯周病やむし歯が隠れていることも少なくありません。
「いつもしみるけれど、すぐにおさまるから」と様子を見ている方も多いですが、この判断が症状の進行を見逃すきっかけになることがあります。今回は、豊田市の歯科医師として日々診療にあたる立場から、冷たいもので歯がしみる代表的な3つの原因と、その見分け方、当院での対応についてお話します。
年齢によって「しみる」原因には傾向があります
「冷たいものでしみる」というご相談は、幅広い年齢層の方からいただきます。ただし、その原因は年齢によって異なるように感じます。
比較的若い方ではむし歯が原因であることが多く、年齢を重ねると歯ぐきが下がる(歯肉退縮)ことによる知覚過敏や、歯周病が関係しているケースが目立ちます。
もちろん、年齢に関係なく誰にでも起こりうる症状なので、まずはご自身の症状がどの原因に近いか、見極めることが大切です。
冷たいものでしみる、代表的な3つの原因
しみる原因として代表的なのは、次の3つです。
① 知覚過敏
② 歯周病による歯肉退縮(歯ぐきが下がる)
③ むし歯
それぞれ、特徴や対処法が異なります。順にご説明します。
① 知覚過敏
知覚過敏は、冷たいものや歯ブラシの毛先が当たったときに、一時的にしみる症状です。「キーンとした痛み」「ピリッとした刺激」を感じ、すぐにおさまるのが特徴です。
これは歯の表面のエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がって内側の「象牙質」が露出したりすることで、外からの刺激が神経まで伝わりやすくなって起こります。
歯みがきの力が強すぎる方や、長年強めにみがき続けている方も、知覚過敏は起こりやすい傾向があります。
② 歯周病による歯肉退縮
特に年齢を重ねた方に多いのが、歯周病による歯肉退縮(歯ぐき下がり)で起こるしみです。歯ぐきが下がることで、本来は歯ぐきに覆われているはずの「歯の根っこ」が露出します。
歯の根っこは、噛む面のエナメル質に比べて刺激に弱いため、冷たいものなどでしみやすくなります。「鏡で見たときに以前より歯が長く見える」「歯と歯の間に隙間が増えた」と感じる方は、歯周病による歯肉退縮が進んでいる可能性があります。
歯周病は気付かないうちにゆっくり進行する病気です。しみる症状が出てきたタイミングが、お口の状態を見直す良い機会です。また、歯周病は全身の健康(糖尿病、心疾患、認知症など)とも関係していることが、厚生労働省の「e-ヘルスネット」などでも紹介されています。
参考:e-ヘルスネット「口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連」>>
③ むし歯
知覚過敏と特に区別しにくいのが、初期のむし歯です。初期のむし歯は知覚過敏と症状がよく似ているため、ご自身で区別するのは難しいことが多いです。
しかし、むし歯が進行すると次のような症状が見られます。
- 噛んだときに痛む
- 熱いものもしみる
- 何もしていなくてもズキズキ痛む
- 夜、眠れないほど痛む
このような症状がある場合、むし歯が神経の近くまで達している可能性があります。早めの受診をおすすめします。
さらに、むし歯は外から見える場所に穴が開いていれば気付きやすいですが、歯と歯の間など見えない部分で進行するケースも多いです。その場合はレントゲン検査で初めてわかることもあります。
自宅でできるセルフチェック
以下のような特徴があると、ある程度の傾向を把握することができます。
知覚過敏のサイン
- 冷たいものや歯ブラシでしみるが、刺激が去ればすぐおさまる
- 歯みがきのときに特定の歯がしみる
- ホワイトニング後など、一時的に発症した
歯周病のサイン
- 歯ぐきが下がってきた、歯が長く見えるようになった
- 歯ぐきが赤く腫れる、歯みがきで血が出る
- 口臭が気になるようになった
むし歯のサイン
- しみる時間がだんだん長くなってきた
- 噛むと痛む、熱いものもしみる
- 夜中にうずくような痛みがある
ただし、これらはあくまで目安です。知覚過敏だと思っていたら実はむし歯だった、というケースは決して珍しくありません。そのため、最終的な判断は歯科医院での診察・検査が必要です。
当院での対応について
しみる原因によって治療内容は異なります。
知覚過敏の場合
まずは「しみ止め」のお薬を塗布する処置をおこないます。1回の塗布で症状が落ち着く方もいらっしゃいますが、繰り返し塗布が必要な方もいます。
何度か塗布しても症状が改善しない場合は、レジンというプラスチック素材で歯の表面をコーティングしたり、レジン充填による対応をおこないます。
また、ご自宅でのセルフケアとして、知覚過敏用の歯みがき粉もおすすめしています。私の臨床経験からの印象としては、1か月ほど継続して使われると、「いつのまにか気にならなくなった」と効果を実感される方が多いと感じます。
歯周病の場合
歯ぐきが下がる根本的な原因は、歯周病だけでなく、歯ブラシの当て方や力加減によることもあります。
当院では、歯ブラシの当て方や毛先の使い方、適切な力の入れ方を丁寧にお伝えし、これ以上歯肉退縮が進まないよう、患者さん一人ひとりに合ったケア方法をご提案します。
さらに、歯周病が背景にある場合は、専門的なクリーニング(SRP=スケーリング・ルートプレーニングなど)を併用しながら、知覚過敏の症状が落ち着くまでサポートします。
むし歯の場合
むし歯の進行度合いに応じた治療を実施します。削って詰める治療や、神経まで進んでいる場合は神経の治療が必要です。早期発見・早期治療ほど治療範囲が小さく済みますので、しみる症状が長引く方は早めにご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
患者さんからよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 知覚過敏は自然に治りますか?
A. 一時的な軽度のものであれば、刺激を避けることで自然におさまることもあります。ただし、症状が長く続いたり、しみる範囲が広がったりする場合は、他の原因が隠れている可能性もあるため、歯科医院でのチェックをおすすめします。
Q2. 知覚過敏用の歯みがき粉はいつから効果が出ますか?
A. 製品にもよりますが、1か月ほど継続して使うと、「いつのまにか気にならなくなった」と効果を実感される方が多いです。短期間で判断せず、しばらく続けてみてください。
Q3. 冷たいものでしみるとき、放置しても大丈夫ですか?
A. すぐにおさまる軽度な症状であれば緊急性は低いですが、症状が長引く、悪化する、噛むと痛む、熱いものもしみるなどの場合は、早めに受診してください。
Q4. しみる症状を予防する方法はありますか?
A. 知覚過敏の場合は、やわらかめの歯ブラシで力を入れすぎずにみがくこと、知覚過敏用の歯みがき粉を使うこと、そして何より定期的なメンテナンスでお口の状態を把握しておくことが大切です。
当院は子育て世代の方も安心して通院いただけます
当院は「服部矯正小児歯科」という名称ですが、大人の方の診療にも力を入れています。
子育て中の保護者の方も安心して通えるよう、平日9時〜16時はお子さんの見守りをスタッフがおこなっています。保護者の方の診療中は、小児歯科での対応経験豊富なスタッフが、お子さんをマンツーマンで見守ります。
「子どもがいるために通院を後回しにしていた」という方も、どうぞ安心してご相談ください。
豊田市で「歯がしみる」とお悩みの方へ
冷たいものでしみる症状は、誰にでも起こる身近なものです。多くの場合は知覚過敏で大事に至らないこともありますが、その中に歯周病やむし歯のサインが隠れているケースもあります。
「自分は知覚過敏だから大丈夫」と自己判断せず、何か気になる症状があるときには歯科医院で診てもらうことが、お口の健康を守る近道です。
また、定期的なメンテナンスを受けていただくことで、しみる症状が出る前の段階で予防・早期発見が可能になります。
豊田市の服部矯正小児歯科では、しみる症状の原因をしっかり見極めたうえで、一人ひとりに合った治療・ケアを提案しています。「冷たいものが少ししみるけれど、これくらい大丈夫かな」と思ったとき、どうぞお気軽にご相談ください。




